京都府議会で審議中の「京都府人権尊重の共生社会づくり条例案」について、ウトロ平和祈念館を含む 5 団体は 2025 年 1 月 20 日、撤回を求める要望書を提出しました。この条例案は「人権」を掲げながら、差別抑止や被害救済の具体策が欠落し、罰則規定が盛り込まれず、条例案の策定過程を見ても当事者の意見聴取が不十分であった点も問題視されています。
京都では、朝鮮学校襲撃事件(2009 年)やウトロ放火事件(2021 年)など深刻なヘイトクライムが繰り返されてきました。こうした差別攻撃は一方的であり、条例案が掲げる「相互尊重」「支え合い」で解消すべき類のものではありません。ヘイトスピーチ被害も同様です。しかし、条例案は、人権教育・啓発や相談体制の充実に重点を置くというものの、現実の被害の深刻さを無視するかの如くです。こうした施策のいずれにおいても結局のところ、差別解消の責任は府民に委ねる姿勢で一貫しています。こうした無責任な態度に、多くのマイノリティ住民が憤りを覚えています。
ウトロ平和祈念館の展示を通じ、日本政府が歴史的に行ってきた差別政策の蓄積が、現在の差別社会を生んでいることが実感されます。日々の差別被害は、公権力による制度的差別の延長ともいえます。にもかかわらず、京都府は自らの歴史的責任を問わず、この条例で府民へ責任を転嫁しようとしています。
人権保障は「思いやり」や「支え合い」といった道徳心で解決されるべきものでも、府民の相互理解に委ねてよいようなものでもありません。行政が責任を持って施策を講じ、法制度を整える義務を負うべきなのです。京都府のような地方自治体だからこそ果たすべき特別な役割があります。
祈念館は、条例案の撤回・再考を求め、引き続き取り組んでいきます。ご賛同いただけるみなさんには、積極的に声を上げてご支援いただきますようお願いします。
※本記事は、2025年3月発行のウトロレター第9号より抜粋しました。条例は変更なく可決となりましたが、ウトロ平和祈念館はこれからも包括的差別禁止条例を求めていきます。