※本シンポジウムはウトロ・アートフェスティバル2025(UAF2025)の一環として開催されます。
日時:2025年11月2日(日) 午後2:00~5:30
場所:同志社大学今出川キャンパス良心館RY107
主催:京都コリア学コンソーシアム
主管:同志社コリア研究センター
共催:ウトロ・アートフェスティバル2025実行委員会;同志社大学都市共生研究センター(MICCS) グローバル地中海地域研究プロジェクト
言語:日本語(コリア語の同時通訳を提供します)
【趣旨】
ウトロ――その歴史的経験が提起する問題は無数に無数にあります。植民地主義、戦争、差別、レイシズム、階級、ジェンダー、離散、定住、土地、生活、コミュニティ、闘争、人権、支援、連帯、記憶、記録……。本シンポジウムを、ウトロ・アートフェスティバル2025(UAF2025)の関連行事として企画するにあたって、私たちは、ウトロを理解し、そのうえでウトロが投げかてくるさまざまな問いを受け止め、ともに考える場をつくりだすことが重要だと考えました。単純なウトロ特殊論でも、ウトロに論及しなくても言えるような一般論でもなく、ウトロ固有の歴史性と向き合うことから見えてくる世界を、開かれたかたちで提示する。そのような意味を込めて、本シンポジウムのタイトルを「ウトロからみた世界」としました。なお、ここで「世界」とは、「世界地図」のようにあらかじめ客観的なスケールが定まった「世界」を意味するのではなく、ミクロな世界もグローバルな世界も含む概念で、ウトロから見えてくるもの、というぐらいの広い意味で使っています。1回のシンポジウムでその全てを論じ尽くすことはできませんが、参加者がさまざまな課題を自らのものとして持ち帰り、今後の可能性へとつなげていく場にしたいと考えています。
【プログラム】
1. 趣旨説明
2. 発表
- (1)中村一成(ジャーナリスト)
- 「ソムード(抵抗):植民地主義の澱から共生のまちへ」
- (2)孫片田晶(立命館大学)
- 「ウトロの運動:力が生まれる、人が連なる」
- (3)具良鈺(弁護士)
- 「在日コリアンに対する文化的ジェノサイド:アジア人権裁判所を夢見て」
- (4)森千香子(同志社大学)
- 「スラムの闘い、その過去と現在:欧州の経験から」
- 司会:板垣竜太(同志社大学)
3. パネルディスカッション
4. 質疑応答
【プロフィール】
中村一成(なかむら いるそん)
ジャーナリスト。在日外国人をとりまく人権、在日朝鮮人運動、レイシズムなどの問題を中心に書きつづけてきた。ウトロに長年通ってまとめた『ウトロ ここで生き、ここで死ぬ』(三一書房、2022年)のほか、『思想としての朝鮮籍』(岩波書店、2017年)、『今日に抗う』(三一書房、2024年)など著書多数。
孫片田晶(そん かただ あき)
立命館大学准教授。専門は国際社会学、人種・エスニシティ研究、多文化共生論。関連した論著として、孫片田晶「連帯と位置性:ウトロの運動における深い関わり合いから」(『移民研究年報』30, 2024年)、全ウンフィ・孫片田晶「出会いの場を残し、発信する:ウトロ平和祈念館」(『コリアン・スタディーズ』12、2025年)がある。
具良鈺(く りゃんおく)
法務法人世宗、弁護士。ウトロで生まれ育ち、弁護士となり、現在は国際人権法の領域で研究を進めている。論文に「在日同胞の国籍はく奪に関する日本の国際法違反」(韓国司法発展財団『司法』68、2024年)、「ウトロ放火事件とヘイトクライムを通じてみる日本の国際人権法違反と今後の課題」(大韓弁護士協会『人権と正義』515、2023年)、共著にHate Speech in Japan( Cambridge University Press, 2019)などがある。
森千香子(もり ちかこ)
同志社大学教授。国際社会学、都市社会学を専門とし、移民やレイシズムを主題にパリ郊外、ブリュッセル、ニューヨークなどで調査をおこなってきた。著書に『排除と抵抗の郊外』(東京大学出版会、2016年)、『ブルックリン化する世界』(東京大学出版会、2023年)がある。