ドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェは、1886年、「狂気は個人にあっては稀有なことである。しかし、集団・党派・ 民族・時代にあっては通例である」と書きました(『善悪の彼岸に』)。そして今、スロヴェニアの哲学者スラヴォイ・ジジェクによれば、 「われわれの世界は最も重症の狂人が統制権を掌握して医師になりすます精神病院に近づきつつある」ようです(『ハンギョレ新聞』電子版、2025年7月7日)。 世界は、そして日本はどこに向かうのでしょうか。知性と道徳性を著しく欠いた権力者がその利害や思惑を通そうとすれば、 世界を覆うのは野蛮な暴力支配です。日本は、平和主義的な憲法にもかかわらず、軍国主義という病がひそんでいる国です。 ここウトロ平和祈念館の立地は、それを象徴しています。昨年、ハン・ガンさんにノーベル文学賞、日本被団協にノーベル平和賞が授与されたことは、私たちが正気に立ち返り、(戦争および戦争とは異なる)暴力の連鎖から脱するヒントを与えています。
今回のみんなのための学習会はウトロアートフェスティバル2025企画として開催です。
■講師紹介
木戸衛一(きど・えいいち)
1957年生まれ。大阪大学大学院国際公共政策研究科招へい教授。専攻は現代ドイツ政治・平和研究。2000~2001年ライプツィヒ大学、2019~2020年ボーフム大学客員教授。日本平和学会理事。
■日時
2025年10月19日(日)
17:00開始(開場 16:30、終了 18:30)
■参加方法
対面:ウトロ平和祈念館
オンライン:後日1週間限定の動画配信
■参加費
一般 500円
サポーター 無料